親の借金を引き継ぎたくない(相続放棄)
といった形で、亡くなられたご両親などご親族の借金などについてご相談をお受けするケースがよくあります。
このような場合に、借金を引き継ぐことを免れる手続きとして、「相続放棄」という手続きがあります。
今回は、この相続放棄の手順や留意点を弁護士が解説します。
相続放棄とは
ご両親が亡くなられた場合、その子といった相続人は、プラスの財産(不動産、預貯金、株など)とともに、マイナスの財産もすべて引き継ぐことが原則となります。
しかしながら、ご両親のご実家の遺品整理などの結果、プラスの財産よりもマイナスの財産が多く見つかるといった場合があります。
このような場合に、差し引きマイナスとなってしまう財産を引き継ぐことを免れる手続きが、相続放棄です。
この相続放棄の手続きを裁判所に申し立て(「相続放棄の申述」といいます。)、相続放棄が認められると、はじめから相続人とならなかったものとみなされることになります。
このように「はじめから相続人とならなかった」とみなされることにより、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなるため、結果的に差し引きマイナスとなってしまう財産を引き継ぐことがなくなるため、ご両親の借金を免れることができることになります。
相続放棄の流れ
相続放棄の申し立てをする場合、①相続放棄の申述書、②住民票除票、戸籍謄本などの申立添付書類を準備して、管轄の裁判所(「被相続人の最後の住所地」を管轄する家庭裁判所です。)にこれらを提出することになります。
提出した資料を裁判所がチェックをし、必要に応じて照会がされたうえで、相続放棄についての判断がされる流れとなります。
相続放棄を弁護士に依頼するメリット
弁護士にご依頼いただいた場合には、①の相続放棄の申述書はもちろん、相続関係が複雑な場合には取得に手間がかかる、②の申立添付書類についても、弁護士に取得をお任せいただけるため、ご自身で手続きいただく手間を省いていただくことができます。
また、相続放棄をしたことを他の相続人に知らせることも弁護士が行います。
この後解説するように被相続人がお亡くなりになってから3か月を既に経過している場合や遺産の一部を使ってしまった場合のような難しい事案にも対応できる可能性がある点も、弁護士に依頼する大きなメリットといえます。
相続放棄の注意点(デメリット)
相続放棄ができるのは、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内」(民法第915条1項)と定められていますので、この期間内に申し立て手続きを行う必要があります。
もっとも、最高裁判所の判例に基づき、3か月以上が経過していた場合でも、相続放棄が認められる場合もありますので、あきらめることなく、まずはこのように判例に基づき相続放棄が認められる事情がないかを弁護士にご相談いただいた方が良いです。
また、相続放棄は、「プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなる」という手続きですので、本当にプラスの財産よりもマイナスの財産が多いのかを慎重に検討した方が良い場合もあります。
そして、相続放棄したマイナスの財産は、次の順位の相続人にまわっていくことになるため、その点も注意が必要です。
加えて、ご両親のプラスの財産を処分してしまったなどといった事情が発覚した場合(このような事情を「法定単純承認」といいます。)には、後から相続放棄は認められないとして、債権者から請求を受けるケースも考えられますので、財産の取扱いについて慎重に検討した方が良い場合もあります。
一度放棄をするとよほどのことがない限り、後に放棄を撤回したいと思っても認められませんので、この点でも慎重に判断する必要があります。
相続放棄を弁護士に依頼する流れ・ご依頼後の流れ
まずは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
弁護士が概要をお伺いさせていただきます。
お電話で概要をお伺いした結果、事務所にお越しいただいて正式なご相談をしていただくことになった際は、日程の調整をお電話でいたします。
正式なご相談では、手続の流れ、所要時間、弁護方針、費用のお見積りを絵を書きながら行います。
相談料は、初回30分は無料となります。
相談の結果、ご依頼を決めた場合は、契約書を取り交わして、弁護活動をスタートします。
相続放棄に必要な資料を集め、申し立て書類を作成します。
作成した資料を管轄の裁判所に提出し、裁判所からの照会等の対応をしていきます。
最終的に、家庭裁判所から相続放棄の申述受理通知書という書面が届き、手続が完了となります。
相続放棄の弁護士費用
弁護士費用は事務所によってまちまちです。
ここでは当事務所の弁護士費用について説明をします。
弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、実費等に大きく分けられます。
上記各項目についての詳細は、こちらをご覧ください。
相続放棄の費用の詳細は、こちらをご覧ください。
おわりに
相続放棄の手続きを、留意点に注意しつつ確実に行うためには、法的な専門知識が必要となります。
特に、3か月という期間制限があるため、迅速な対応が肝心な分野となります。
当事務所では、税理士・会計士向けのセミナーや書籍の執筆活動等を通じて専門性を高めつつ、実務においても困難な相続放棄事案を含め、複数の案件に取り組んでまいりました。
相続放棄でお悩みの際は、お力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。
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