相続人が海外在住で遺産分割で揉める場合の手続きと解決法
遺産分割
「遺産分割で揉めており、相続人の一部が海外に居住しているが、どのように遺産分割を進めれば良いか。」
当事務所には、このような相続トラブルに関するご相談が寄せられる場合があります。グローバル化に伴い、ご親族が海外に在住しているケースは決して珍しくありません。
そこで、今回の記事では、海外に相続人が居る場合の遺産分割の進め方や留意点について解説いたします。
目次
1 海外に相続人がいる場合の遺産分割の流れ
相続人の一部が海外に居住している場合においても、遺産分割の手続の流れ自体は、相続人の全員が日本国内に居住している場合と異なる訳ではありません。
すなわち、
- (家庭裁判所外における)遺産分割協議→遺産分割協議書の取り交わし
- (遺産分割協議が調わない場合)家庭裁判所における遺産分割調停
- (遺産分割調停が調わない場合)家庭裁判所の裁判官による遺産分割審判
という流れで進んでいきます。
そして、相続人の一部が海外に居住している場合において、揉めていないケースでは、国際郵便でやり取りをすることにより、上記①の遺産分割協議書の取り交わしができる場合もあり得ます。
他方、揉めているケースでは、上記②の遺産分割調停の申立てをする必要があることになります。この場合、後記2のとおり、相続人の全員が日本に居るケースと比較して、いくつか留意点があります。
2 相続人の一部が海外に居住している場合の留意点
相続人の一部が海外に居住している場合、以下のような留意点があります。
⑴ 海外居住の相続人の意向確認がスムーズにできないこと
海外居住の相続人が、日本の家庭裁判所において行われる遺産分割調停の期日に出席することは容易ではありません(国家主権の問題から、海外居住の相続人が海外からWEB調停に参加することも通常はできません。)。
⑵ 裁判書類の国際送達にはかなりの時間がかかること
遺産分割の審判書などの裁判書類は、「送達」という特別の方法で行う必要があり、海外への送達は、外国に駐在する日本の領事官あるいは外国の中央当局を通じて行うことになるため、かなり時間がかかります。例えば、アメリカへの送達には、領事官による送達で3か月、アメリカ当局による送達で5か月かかるとされています。
3 海外居住の相続人との問題をクリアするための方法
上記のような「時間」と「手間」のハードルをクリアするためには、(相応の弁護士費用が掛かる)海外居住の相続人が日本の弁護士に依頼をするという方法以外に、以下の方法が考えられるところです。
⑴ 相続分の譲渡
海外居住の相続人が、ある程度の判子代の支払いを受けることなどを条件として相続分を譲渡しても良いという意向を有している場合には、相続分譲渡証書を取り付けて、その相続人が遺産分割手続から脱退(排除)するという方法をとるのが簡便ではあります。
⑵ 送達場所の届け出
海外居住の相続人本人が、書類の授受につき信頼のおける日本に居住する親族を送達受取人として指定して、送達場所の届け出をすることにより、前記2⑵の留意点はクリアすることができます。
4 遺産分割に関する問題の弁護士費用
遺産分割における遺産分割や相続トラブルに関する弁護士費用につきましては、以下のページにて詳しくご案内しております。
https://kl-o.jp/inheritance/#souzokucost
5 おわりに:国際的な相続トラブルは弁護士へ
相続人の一部が海外に居住しているなど、国際的な要素が絡む遺産分割においては、
- 日本の家庭裁判所に管轄権があるか(国際裁判管轄の問題)
- どこの国の法律が適用されるか(準拠法の問題)
- 裁判書類をどう届けるか(国際送達の問題)
等、日本国内で完結するケースと比較して、検討しなければならない留意点が多くあります。
判断に迷う場合や、手続きがストップしてお困りの場合は、弁護士に相談することをお勧めいたします。
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