弁護士法人葛飾総合法律事務所

非公開株式の遺産評価とは?基準時と評価方法を徹底解説!

非公開株式が相続財産に含まれている場合、「どのように評価すればよいのか分からない」とお悩みの方は少なくありません。
とりわけ、遺産分割や遺留分の問題に関わる場面では、非公開株式の正確な評価が求められるため、相続人間での争いに発展することもあります。

たとえば、被相続人が中小企業を経営しており、その株式が遺産の大部分を占めるケースでは、評価額をめぐる意見の相違が深刻な対立を引き起こす要因となり得ます。

本記事では、非公開株式を含む遺産の評価に関して、評価の基準時と評価方法、さらに実務上の対応や弁護士に依頼する利点について、法律の視点からわかりやすく解説します

1 非公開株式とは?相続における意味

非公開株式とは、証券取引所に上場しておらず、市場価格が存在しない株式会社の株式を指します。
多くは同族経営の中小企業に該当し、事業承継の場面で遺産に含まれることが多くあります。
相続においては、非公開株式も他の財産と同様に分割の対象となります。
しかし、上場株式と異なり客観的な市場価格が存在しないため、その評価には専門的知識と資料に基づく判断が必要です。
また、特定の相続人が事業を引き継ぐことを前提として株式をすべて取得する場合、評価額次第で他の相続人が取得する財産とのバランスに大きな影響が出ます。
そのため、評価をめぐる意見の食い違いが発生しやすい財産のひとつといえるでしょう。
続いて、非公開株式の評価において重要となる「基準時」について解説します。

2 遺産の評価の基準時とは?遺産分割、遺留分それぞれの財産評価の基準時

遺産の評価においては、「いつの時点の価値を基準とするか」がきわめて重要です。
この評価時点を「基準時」といい、相続人間での理解のずれや争いを防ぐ上で大きな意味を持ちます。
一般に、遺産分割の対象財産は、「遺産分割時」の価値で評価するのが家庭裁判所の実務です。
「相続開始時」とすると、分割時に評価額が下がった遺産を取得する相続人と上がった遺産を取得する相続人との間に不公平が生じるためです。
なお、特別受益や寄与分が問題となる事案では、相続開始時を基準として算定を行うため、二時点の評価が必要になる場合があります。
他方、遺留分侵害額請求における遺留分侵害額計算の基となる財産の評価の基準時は、「相続開始時」と実務上されています。
遺留分が具体的に発生するのは相続開始時であり、遺留分を計算するための財産があるかどうか・どこにあるのかをもっとも最も知ることができるのも相続開始時です。
相続開始時を基準とすることで権利関係を早期に安定させることができるため、実務上「相続開始時」と解されています。
争点を未然に防ぐためには、遺産分割、遺留分ごとに早い段階で評価の基準時を明確に定めたうえで、公平かつ客観的な評価を行うことが不可欠です。
次に、非公開株式の主な評価方法について見ていきましょう。

3 非公開株式の評価方法とは?

非公開株式の評価方法は、会社の事業内容や財務状況に応じて複数の方式が存在します。
会社法上の株式買い取り請求における株価の算定方法(純資産方式、配当還元方式、類似業種比準方式、収益還元方式、混合方式など)や税務上の評価基準(大会社の場合は類似業種比準方式、中規模の会社の場合は類似業種比準方式と純資産方式の併用、小規模の場合は純資産方式など)を用いて判断していきます。
当事者間で金額が折り合えば、その金額を株の評価額とすることができます。
もっとも、折り合えない場合は、専門職(会計士や税理士)による鑑定が必要となることが多いです。

4 非公開株式評価の実務上の注意点

非公開株式の評価をめぐって相続人間で対立がある場合、多くのケースでは前述の専門家による評価が必要となります。
相続人が合意の上で、会社の顧問税理士や顧問会計士に評価を依頼することもありますが、顧問先が特定の相続人と関係が深いことが一般的であり、公平な評価が期待できないとして他の相続人が反対することもあります。
こうしたケースでは、まったく利害関係のない中立的な専門家に依頼することで、評価に対する納得性を高めることが可能です。
専門家選定にあたっては、調停前の段階であれば私的に選定した会計士や税理士に評価を依頼することが多いですが、他の相続人から見ると、依頼をした相続人の「息がかかった」評価額と見なされてしまう可能性があります。
そのため、対立が当初から想定される事案については、調停内で当初より専門委員や後述の鑑定人を選任してもらい、そこで決めるという進行方法も検討する必要があります。
遺産分割や遺留分が裁判所で争われる場合には、裁判所の鑑定手続きを利用して、選任された鑑定人(通常は公認会計士)による評価を受けることができます。
このように、非公開株式の評価には法律・会計の両面からのアプローチが不可欠であり、適切な資料の整備と専門家の選定が重要となります。
次に、非公開株式の評価を伴う遺産分割の事案を弁護士に依頼する意義についてご説明します。

5 弁護士に依頼するメリット

非公開株式をめぐる相続は、複雑な非公開会社の株の評価の問題に加え、事業承継や相続人間の利害調整といった複雑な問題が重なりがちです。こうした場面で弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。
まず、法律の専門家として、公平で法的妥当性のある分割方法を助言できる点が大きな強みです。評価額や分割案に争いがある場合でも、専門職と連携し、法的根拠に基づいた整理が可能です。
次に、遺産分割調停・審判や遺留分侵害額調停・訴訟などの手続に代理人として対応できるため、当事者が直接対立することによる精神的・時間的負担を大きく軽減できます。
さらに、株式の評価だけでなく、事業承継を通じた必要な取締役の選任、新たな株主が生じた場合のリスク説明や対応策の協議など、企業運営に関わる法的リスクにも対応できる点は、実務に精通した弁護士ならではの利点です。
こうしたメリットを踏まえ、特に非公開株式の相続を遺産に含む相続事案に関しては、早期に弁護士へ相談することを強くおすすめします。

6 弁護士費用

弁護士への依頼にあたっては、事案の内容や対応の範囲によって費用が異なります。調停や審判手続の有無、交渉の難易度などによっても費用構成が変わりますので、詳細は個別に確認いただくことが必要です。
弁護士費用の目安については、以下のページにてご案内しておりますので、ご相談前の参考にしてください。
https://souzoku-katsushika.com/

7 まとめ

非公開株式の遺産評価は、評価基準時や評価方法の選定によって、相続分配に大きな影響を与えます。
公平な評価と冷静な協議のためには、専門家の関与が不可欠です。
特に法律的な観点からの助言や手続対応を含め、弁護士に依頼することで、より確実な相続対応が可能となります。
相続問題でお悩みの際は、まずはお気軽にお電話ください。

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この記事の著者

弁護士法人葛飾総合法律事務所

代表弁護士角 学 (東京弁護士会所属)

千葉県出身です。葛飾区金町のお隣の松戸市に住んでいました。
中学、高校は、都内の巣鴨学園で遠泳・古式泳法・登山・剣道等様々な分野に取り組みました。
司法試験合格後、しっかりとした弁護士の基礎を身につけたいと思い、港区の大手法律経済事務所に就職し、元裁判官や元検察官、現役の弁護士職務経験裁判官、検察官をはじめとする先輩弁護士の方々に学びました。
その後、弁護士として、トラブルに困っている方々のお力になりたいと考え、地元にほど近い葛飾区金町で独立をいたしました。

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