相続人に成年後見人がいる場合の対処方法
「相続で成年後見人(保佐人、補助人)が必要なケースとは?」
「認知症の相続人がいるけれどもそのまま遺産分割協議を進めていいのか」
「知的障害のある相続人がいるもののこれまで成年後見等の制度は使っていなかった。遺産分割の問題が生じたがどうすればいいのか」
上記のようなお悩みを抱く方も少なくないのではないでしょうか。
相続と後見の問題はセットで問題になるケースが少なくありません。
相続をきっかけに後見等を開始される方も数多くいらっしゃいます。
この記事では、相続と後見の問題について、後見人等を選任する必要があるか、必要があるとして、後見等申し立てを弁護士に依頼をするメリット、そして、実際に弁護士に相続と後見の問題を依頼した場合の費用を解説していきます。
最後に、当事務所のご相談の流れについても解説いたします。
1 遺産分割において後見人等を選任する必要があるか
⑴原則として判断能力が不十分な場合は必要
後見人等を選任する必要があるか否かについては「ご本人の判断能力次第」となります。
ご本人の判断能力を欠く、著しく不十分あるいは不十分な場合は、それぞれ、成年後見、保佐、補助といった各種制度を利用しなければ、遺産分割協議書を作成することができません。
単に、高齢である、最近物忘れが少し増えてきたといった事情があるだけで必ずしも成年後見人が必要となるわけではなく、「医師の診断書で判断能力が不十分」と家庭裁判所により判断された場合に必要になります。
もっとも、いままでそのような診断がされたことがなかったから、常に問題がないかというとそうではなく、仮に医師が診断書を書いた場合に判断能力が不十分と評価する可能性がある場合は、念のため、医師の診断を仰いだうえで、遺産分割協議を実施したほうが安全であるといえます。
その趣旨は、後に、遺産分割協議書作成当時、判断能力が既になかった等と争われた場合に、判断能力には問題なかったと反論するために必要な資料になるためです。
⑵例外1(遺言がある場合)
お亡くなりになった方が有効な遺言書を作成している場合、遺産分割協議を経ずにその遺言書の内容に沿って遺産を分けることができます。
その場合は、遺産分割協議自体が不要となるので、判断能力が不十分な相続人がいたとしても、後見人等を立てることなく遺産を分けることができます。
⑶例外2(法定相続分で相続する場合)
法定相続分どおりに例えば不動産を共有で相続登記をする場合などは、特に遺産分割協議を実施しなくても登記することができます。
このように法定相続分で相続する場合は、遺産分割協議自体が不要となるので、判断能力が不十分な相続人がいたとしても、後見人等を立てる必要がありません。
2 後見人等の選任の申立を弁護士に依頼するメリット
⑴誤りなく手続を迅速・確実に進めることができる
後見の申立には、申立書類や添付資料を適切に揃えたうえで、裁判所に申し立てる必要があります。
個人で適切・迅速に手続を進めることは困難な場合が多いと思われます。
弁護士に依頼をした場合は、手続が遅延しないよう配慮しながら、迅速・確実に手続を進めることができます。
⑵申し立てる裁判所の管轄によっては、そのまま後見人等に就任して遺産分割協議を行うことができる
ご本人の住所が東京家庭裁判所管内であれば、申立を代理した場合、そのまま後見人等に就任することができる場合があります。
もっとも、最終的に、誰を後見人等に選任するかは裁判所次第となるため、確実に選任されることは保証できませんが、多くのケースではそのまま後見人等に就任しております。
後見人等に就任後は、そのまま引き続いて遺産分割協議に関与可能となる場合がありますので、ワンストップで問題を解決できる可能性があります。
3 後見等の弁護士費用
弁護士費用は事務所によってまちまちです。
ここでは当事務所の弁護士費用について説明をします。
弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、実費等に大きく分けられます。
上記各項目についての詳細は、こちらをご覧ください。
後見等の費用の詳細は、こちらをご覧ください。
4 おわりに
相続と後見の問題を、適切・迅速に行うためには、後見の要否の見極めを含む法的な専門知識が必要となります。
当事務所では、税理士・会計士向けのセミナーや書籍の執筆活動等を通じて専門性を高めつつ、実務においても困難な相続事案を含め、複数の案件に取り組んで参りました。
相続と後見の問題でお悩みの際は、お力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。
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