遺留分を侵害されたとき,いくら請求できるのか(遺留分侵害額の計算方法) | 葛飾で相続、遺産分割を弁護士に相談

遺留分を侵害されたとき,いくら請求できるのか(遺留分侵害額の計算方法)

「遺留分はどのように計算するのでしょうか?」

といったご相談をお受けするケースがよくあります。

不公平な遺言や贈与によって「遺留分」を侵害されたら、相手に遺留分侵害額を請求できますが、請求時には「遺留分侵害額」を正確に計算しなければなりません。

今回は遺留分を侵害されたとき、いくらを請求できるのか、遺留分侵害額の計算方法や手順を弁護士が解説します。
 

遺留分侵害額とは

前提としての「遺留分」とは何かについては、こちらのコラムをご参照ください。
「遺留分侵害額」とは、侵害された遺留分の金額です。
2019年7月1日から、法改正によって遺留分は「金銭請求」の方法で解決することになりました。

遺言や贈与によって遺留分を侵害されたときには、「侵害された遺留分の金額」である「遺留分侵害額」を計算する必要があります。

正しく算定できないと相手も合意しにくく、遺留分侵害額請求の話し合いも進められなくなってしまうでしょう。

以下で遺留分侵害額の計算手順を示します。
 

遺留分侵害額の計算手順

STEP1 遺産や贈与の額を評価する

遺留分侵害額を計算するには、まずは「遺産」や「贈与」の評価をしなければなりません。
預金や現金であれば残高がそのまま評価額となりますが、不動産や株式などの価額が変動する財産の場合、時価を明らかにする必要があります。
たとえば上場株式であれば終値、不動産であれば査定書を取得して時価を調べましょう。
 

評価基準時

遺産を評価するには「評価基準時」も明確にしなければなりません。
評価基準時とは「いつの時点の価額を基準とするか」というタイミングです。
遺留分計算の場合、評価基準時は「相続開始時」と考えられています。
 
たとえば不動産が生前贈与された場合、贈与時の時価が3,000万円、被相続人が死亡したときの時価が3,500万円、遺留分侵害額請求時の時価が3,800万円だったとしましょう。
この場合、相続開始時の時価である3,500万円を基準として遺産額を算定します。

それぞれの遺産額を算定できたら、全体を合計します。
 

STEP2 遺産に贈与の額をプラスする

遺産額を明らかにできたら死因贈与や生前贈与の金額もプラスします。
遺留分侵害額請求の対象となる生前贈与は以下のものです。
 

  • ・死亡前1年以内の生前贈与
  • ・相続人に対する死亡前10年以内の特別受益となる生前贈与
  • ・当事者の双方が「遺留分を侵害する」と知って行われた生前贈与(期間制限なし)

 
特別受益となる生前贈与は婚姻や養子縁組のための贈与や生計の資本としての贈与です。
たとえば結婚の際に居住用の不動産や高額な持参金を与えた場合などに特別受益となります。

贈与財産についても遺産と同様、評価しなければなりません。
 

STEP3 負債をマイナスする

次に「負債」をマイナスしましょう。
たとえば被相続人が借金をしていた場合、未払いの家賃やその他の負債を負っていた場合、上記の金額から差し引きます。

ここまでできれば、遺留分侵害額請求の対象となる財産額が明らかになります。
 

遺留分侵害額請求の対象となる財産額=遺産額+贈与額-負債の金額

 

STEP4 全体の遺留分割合を掛け算する

遺留分侵害額請求の対象となる金額を計算できたら、次に「遺留分割合」を掛け算しなければなりません。
まずは「全体として認められる遺留分割合」を掛け算します。
「総体的遺留分」ともいいます。
 
全体として認められる遺留分の割合は以下のとおりです。
 

  • ・基本は2分の1
  • ・親や祖父母などの直系尊属のみが遺留分権利者の場合は3分の1
     親のみ、祖父母のみなどのケースであれば3分の1になりますが、子どもや配偶者、孫などの他の相続人が含まれていれば2分の1になります。

 

STEP5 個別の遺留分を計算する

最後に個別の遺留分権利者の遺留分を計算します。
遺留分権利者が1人であれば上記で算出した総体的遺留分が本人の遺留分となりますが、複数の権利者がいる場合には分配しなければなりません。
分配する場合の割合は、基本的に法定相続分に従います。
 
たとえば2人の子どもと配偶者が遺留分権利者となる場合には、以下のとおりです。
 

配偶者の法定相続分は2分の1なので、配偶者の個別的遺留分は「総体的遺留分2分の1×2分の1=4分の1」
子どもの法定相続分は4分の1なので、子どもの個別的遺留分は「総体的遺留分2分の1×4分の1=8分の1」

 

【遺留分の割合早見表】

個別の遺留分権利者の遺留分割合を計算する際、総体的遺留分と個別的遺留分をその都度計算するのは大変です。
以下でパターンごとの遺留分割合早見表を作成しましたので、計算の際には参考にしてみてください。
 

遺留分権利者 遺留分割合
配偶者のみ 2分の1
配偶者と子ども 配偶者が4分の1
子どもが4分の1
(子どもが複数いるときは等分)
子どものみ 2分の1(子どもが複数いる場合には等分)
配偶者と父母 配偶者が3分の1
父母は6分の1
(父母両方がいる場合は12分の1ずつ)
父母のみ 3分の1
(父母の双方がいる場合には6分の1ずつ)
配偶者と兄弟 配偶者が2分の1(兄弟姉妹に遺留分はない)

 

遺留分侵害額計算の具体例

遺留分侵害額を計算する場合の具体例をみてみましょう。
 

  • 遺産額の合計が5000万円、贈与額が2,000万円、負債額が1,000万円、配偶者と子ども2名が遺留分権利者となるケース

    この場合、遺産額の合計が5,000万円、贈与額が2,000万円なので合計が7,000万円です。
    負債が1,000万円あるので差し引きを行い、残額は6,000万円となります。
    配偶者の遺留分割合は4分の1、子どもたちそれぞれの遺留分割合は8分の1ずつです。

    そこで配偶者の遺留分侵害額は6,000万円×4分の1=1,500万円
    子どもたちそれぞれの遺留分侵害額は6,000万円×8分の1=750万円
    となります。

    配偶者は遺留分の侵害者に対して1,500万円、子どもたちはそれぞれ750万円を請求できます。

 

  • 遺産額の合計が3,000万円、負債額が300万円、父母が遺留分権利者となるケース

    遺産額の合計は3,000万円、負債額が300万円なので、差し引きして遺留分侵害額の対象となる総額は2,700万円となります。
    父母の遺留分割合はそれぞれ6分の1ずつなので、遺留分侵害額は2,700万円×6分の1=450万円となります。

    たとえば遺言によって第三者へすべての遺産が遺贈された場合、父母は受遺者に対してそれぞれ450万円の支払いを請求できます。

 

遺留分侵害額計算時の注意点

遺留分侵害額を計算する際には、以下の点に注意しましょう。
 

遺産の評価は正確に行う

まず「遺産の評価」を正確に行わねばなりません。
不動産などの時価が変動する財産については特に注意が必要です。
遺産分割協議では「遺産分割時の時価」を基準としますが、遺留分侵害額の計算では「相続開始時の時価」を基準とするので、間違わないようにしましょう。

また不動産には「路線価」「固定資産税評価」などの評価方法もありますが、遺留分侵害額の計算時には基本的に「時価」を用います。
 

負債の差し引きを忘れない

次に「負債」の差し引きを忘れてはなりません。
差し引けるのは「被相続人が負っていた負債」に限られます。
「葬儀費用」は差し引きできないので、間違えて引き算しないようにしましょう。
 

遺留分割合を間違わない

誰が遺留分権利者になるかで、遺留分割合が異なります。
割合を間違えると算定される遺留分侵害額が大きく変わってしまいます。
上記の表も参考にしつつ、正しい割合をあてはめて計算しましょう。
 

兄弟姉妹に遺留分は認められない

兄弟姉妹に遺留分はありません。
兄弟姉妹と配偶者が相続人になる場合、配偶者にのみ遺留分が認められます。
この場合、配偶者が総体的遺留分である「2分の1」を独占します。
配偶者の法定相続分である4分の3で割り算してしまうと間違えてしまうので、注意してください。
 

遺留分侵害額の計算と弁護士に依頼するメリット

遺留分の計算は、実際の事案ではもっと数字は細かくなり、考慮すべき要素も数多く含まれますので、間違ってしまう方も多いです。
また、こちらは正確に計算をしたとしても、その計算が正しいかどうか、相手方が理解してもらえない場合や納得をしてもらえない場合も多くございます。
正確な金額を計算し、適切な遺留分を取得するためにも、迷った際は弁護士にご相談いただければと思います。
 

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