母は、生前、遺言公正証書を作成しており、すべての財産を私に相続させる旨記載しました。
しかし、遺産をもらえなかった兄弟が、その遺言は無効であると主張し、当時母がかかっていた病院の医療記録を示しつつ、弁護士を通じて遺産分割実施の申し入れをしてきました。
遺言公正証書の無効の主張を排斥した事案
相談前
相談後
弁護士からのコメント
まずは、医療記録を取り付けたうえで、遺言書作成時の判断能力に関する資料を確認しました。確かに認知能力に疑義のある記載はありましたが、遺言作成の能力を欠く状況とは到底いない状態でした。
その他にも、司法書士も判断能力に問題ないとして登記をしていた事情や相手方自身も判断能力があることを前提とする法律行為を行っていた事情があり、遺言は有効であると主張して、交渉しました。
最終的には、相手方が折れ、遺留分相当額の解決金をお支払いする形で終了しました。支払額は、当初請求された額の3分1程度で合意することができました。
遺留分侵害額請求交渉・調停を行い、不動産についても査定を複数とり主張立証をした結果、かなりの金額の金銭の支払いを受けることができる調停が成立しました。
認知症=遺言書の作成ができないとお考えの方は多いかと思われます。
特に弁護士から認知症なので遺言は無効だ、と内容証明で送られた場合、無効なのかもしれない、と不安なお気持ちになるのは普通です。
法的には、遺言は遺言能力とよばれる能力があれば作成でき、認知症の程度によっては問題なく作成が可能です。
そのため、医療記録や周辺事情を丁寧に調査して、本当に無効なのかどうかを判断する必要があります。
今回の事案はそのような調査検討が功を奏して大幅な請求額の減額が実現した事案でした。