相続財産清算人申立て-賃借人が亡くなったケースを例に
相続手続
「建物の賃借人が亡くなったが、生前は一人暮らしであり相続人が分からない。」
「建物の賃借人が亡くなり、家賃も滞納されているので家財を処分しても良いか。」
このコラムでは、賃借人が亡くなったケースを例に相続財産清算人申立てについてご説明します。
1 前提問題-自力救済が推奨できないこと
アパートの一室といった建物の賃借人が亡くなった場合、その賃借人の相続人が賃借人としての地位を承継することになります。そこで、この場合は、賃貸人(不動産のオーナー)としては、その相続人を探して、その相続人に対して、建物の明渡し・原状回復を求めていくことになります。
しかしながら、賃借人が独り身であり相続人がいない場合、あるいは建物の明渡し・原状回復を求めた相続人が相続放棄をして相続人がいなくなる場合といったことがあり得ます。
これらの場合、賃貸人としては、賃貸物件内の家財を処分してしまい、自力救済としての明渡しをしてしまいたいという誘惑に駆られてしまうことになりますが、そのような自力救済は民事上・刑事上のリスク(たとえば、居室内に他人の所有物が残置されているケースで他人の所有物を破棄してしまい損害賠償請求等を受けるリスク等)を払拭できないことから推奨できるものではありません。
2 相続財産清算人選任の申立て
このような民事上・刑事上のリスクのある自力救済を避けて、適法・適正に賃貸物件の明渡しを確実に成し遂げるためには、家庭裁判所に対し、相続財産清算人選任の申立てをするべきことになります。
相続財産清算人(多くの場合は弁護士)が選任されると、その相続財産清算人が可能な限り亡くなった賃借人(被相続人)の財産等を調査し、一般的には見込みは乏しいですが仮に財産が発見されればその中から滞納賃料の支払いが受けられる可能性があるほか、明渡請求訴訟・強制執行といった法的手続を別途執ることなく、相続財産清算人との協議・合意により、任意の建物明渡が受けられる可能性もあります。
相続財産清算人選任の申立てに際しては、家庭裁判所に対する予納金を納める必要があります(東京家庭裁判所の場合は原則100万円とされています。)。
また、家庭裁判所による一定の申出期間を定めた各種公告手続を経ることが必要になり時間(最短で合計6か月)も相応にかかります。
もっとも、「適法・適正な後始末をする」ためには、このような法的手続を経ることが必要になります(賃貸物件を除却して更地にして転売をする、といったことを予定している場合には、なおのこと潜在的な買主との関係でもこのような法的手続を経ることを要するといえます。)。
3 相続財産清算人選任申立てなどに関する当事務所の弁護士費用
相続財産清算人選任申立てについては、原則として着手金20万円の弁護士費用でご依頼いただけます。
その他不動産に関する当事務所の弁護士費用は、以下のリンクからご確認いただけます。
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